おしゃべりば

いろいろしゃべるお化け

【Extreme Hearts振り返り 2話】

Twitterで連載していた、Extreme Hearts放送当時を思い出しながら振り返る、「Extreme Hearts振り返り」シリーズをブログにアーカイブしたものです。

【Extreme Hearts振り返り 2話】は[2022年11月22日]にTwitter上で公開されました。

 

【Extreme Hearts振り返り 2話】

(全て個人の感想です。また、できる限り当時の素直な感想を再現するため、非礼な文章が出てくることがあります。)

夏アニメ2周目が始まった。PV時点で分かっていたことだが、夏は恐ろしいほどのビッククールだった。春もかなりアニメを観たが、夏はそれを上回りそうだった。まだアニメも出揃いきっていないが、ExHはどういう立ち位置になっていくのだろうか。3本ほど消化したあと、トリに2話を再生した。

 


ExH1話であまりにもこっぴどくやられたせいか、2話は比較的フラットな気持ちで見られていたように思う。前半でフットサルの試合、後半でカラオケに行き、みんなで練習という流れもオーソドックスで理解しやすかった。

 


注目はやはり試合シーンだろう。どういう風に試合を扱うか、どれくらいの作画でいくのか、このアニメを計るには絶好の材料である。1話の雰囲気的にはそこまで期待値は高くは見積もっていなかったが、ここは出来るだけ頑張ってくれると嬉しいところである。

 


さて記念すべき最初の試合を観た私の感想は「なかなか……いいんじゃない?」といった感じだった。うん、悪くない。むしろ好みのアクションだと思った。

 


ExHはこの時代に珍しい極まったリミテッドアニメーションの使い手だ。最近は写実的でヌルヌルな作画が好まれる(同期の大ヒット作、リコリス・リコイルがいい例だ)中で、ExHはカットイン・止め・スライドを最大限利用した作画をする。今だと物珍しい作品である。

 


線もふにゃっとしているからExHの画面には全体的にちょっと懐かしい感じが漂う。パッと見だと令和というよりかは平成のアニメっぽい。決してリッチな画面とはいえないだろう。しかし、試合シーンが作画的に退屈だとは思わなかった。

 


ExHの試合シーンはとにかくテンポがいい。静と動をメリハリ良く切り替えられるリミテッドアニメーションの利点を最大限活かしていて、勢いのあるモノローグの消化から流れるように迫力あるシュートシーンに移行している。さらに演出も力を貸し、より疾走感を出す為に挿入歌が……挿入歌!?!?!?

 


歌い始めた瞬間我々は軽いパニックに陥った(このときのパニックで私は見返すまで2話の前半部分の記憶を失っていた。オーバーフロウである)。どうして挿入歌があるんだ。今まさに低予算アニメながら技巧を駆使して戦う老戦士的な立ち位置にこのアニメを置こうとしていたのに、どうして挿入歌があるんだ

 


完全な不意打ちである。そしてこのタイミングで挿入歌をかけられるならExHにはまだ余力が残されている可能性が高い。このアニメにはアイドル要素もあるからだ。曲数を用意しなければいけない状態で、ここで曲をかける?予算に余裕があるのか?それとも曲が余ったんか?

 


完全に底が見えなくなってしまった。まさか試合シーンを経て「リソース量が不明」まで追加されるとは……。このアニメどこに向かう気なんだ……。このリソース量不明問題は最終回まで視聴体験に大きな影響を与えていくことになる、恐ろしい問題になっていくのだった。

 


前半戦で壮絶な戦闘を抜けた後、ぬるりとカラオケシーンに移行する。1話から思ってたけどこのアニメ、シーンの区切りがヌルッとしてるな……。気がついたら次のシーンが始まっているような印象だ。しかも結構な尺でカラオケする。らき☆すたのEDを思い出した。

 


カラオケシーンは尺を使っているが声優さんの歌い方によるキャラ描写が素晴らしく、意外と面白みがある。あとなんかチームの3人の親和性がすごいというか、確かにこの3人なら仲良くなるよねーという雰囲気がよく出ている。キャラクターへの好感は持てるなーと思った。

 


その後はチームでの練習パートなのだが、その前に事件が発生した。まず試合がダイジェストでいくつか消化された。ナンデ?オリジナルアニメなんだから必要な試合数だけ設定すればいいのでは?と思ったが試合がダイジェストで消化される。よくわかんねえ……。

 


そして列車移動の最中、椅子に座る陽和たち……と立たされるPロボ!!!ぴ……Pロボ!!!座る権利すらないのか!試合でもボコボコにされて、椅子に座る権利すら、ない!スポーツをするために生まれたとはいえ見事に物扱いされるPロボの絵面がショッキングすぎるシーンである。

 


このシーンを見た時Pロボになんとか一矢報いて欲しいという感情が沸いてきた。どこかで活躍してくれPロボ……頼むっ……!このシーン、SF的な観点でみると人型ロボは人間用のインターフェースをそのまま利用できることが利点という描写とも取れるので、冷静なシーンにも見えるのが無駄に絶妙である。

 


このあと、列車を降りた後の咲希と純華の会話が2話では結構好きなシーンである。ハードワークする陽和を心配する咲希と、楽しんでやっているし問題ないよという純華。このシーンは2人からの陽和の現状の説明と、展開の示唆を含んでいて好きだ。

 


陽和が歌手からExtream Heartsでスポーツをすることに悩むといった展開はしないことと、オーバーワークで倒れるといった展開はしないことをこのシーンは示唆している。つまり、この作品は前向きにいきますよという宣言だ。なんとなくは感じていたが、前向きなアニメだと伝えてくれるのは安心する。

 


この台詞を陽和ではなく、外から見た2人に言わせるのも脚本術を感じるところで、この時点でキャラクター描写に対する不安はほとんどなくなった気がする。前向きな明るいアニメで、キャラクター描写に自信があるアニメとして観ていこうと思った。

 


ただ、キャラクター描写を優先してみようとすると、ライブと試合の展開を作る尺が逆に邪魔になるんじゃないか?とこの時点では思ってしまった。キャラクター描写と物語の展開は相反しがちな要素で、ただキャラクターを描写するなら展開は少ない方がいい。

 


もちろん展開とキャラクター描写を一体化させることはできる。が、この時点でこの子たちが戦い、ライブをすることで見えるようになるキャラクター描写がなんなのかということはわからなかった。展開とキャラクターがぶつからないか若干の不安を覚えた記憶がある。

 


物語の行く末、リソースの量、Pロボの未来……。わからない事は多すぎるほど多かったが、一方で展開の示唆をするなど視聴者を突き放しているわけではない。面白いけど……どうなるんだ?独特の疲労感と浮遊感に包まれながら、我々は2話の視聴を終えた。【終】